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外国人の起業を促進するスタートアップビザとは

日本で起業したい外国人が「経営・管理」の在留資を取得するには、出入国在留管理局への申請時に、会社の設立に加え、資本金の額又は出資の総額が500万円以上必要であるか、常勤職員を2名以上雇用するなどの要件を整えておく必要があります。

例えば、日本に留学しにきて卒業後、日本で起業したい場合、いきなりこれらの要件を揃えていくことは実に難しいことになります。起業予備軍となる留学生たちは失敗するリスクを恐怖してスタートできなくなる可能性があります。

そういう面での配慮をして、日本政府(経済産業省)は「外国人起業活動促進事業」の認定を2019年からスタートしました。要は、日本各地方自治体は、この事業を実施したい場合、経済産業省に申請して、認められたら、該当地方で「外国人起業活動促進事業」の実施ができます。

これまで、国家戦略特区における外国人の起業に対して特別で6ヶ月間の創業準備期間を設けた制度がありましたが、今回の「外国人起業活動促進事業」は、外国人に起業させやすいための一番新しい制度で、通称「スタートアップビザ制度」です。

Contents

スタートアップビザ制度を利用する流れ

出典:日本経済産業省 外国人起業活動促進事業に関する告示

スタートアップビザというのは、在留資格「経営・管理」の取得に向けて、まず起業を志す人は、該当行政部門に自分の創業計画書等の申請書類を提出して、無事認定されたら「起業準備活動計画確認証明書」を交付します。それを持ってまた入国管理局に在留資格「特定活動」のビザを申請します。問題なかったらまず6ヶ月間の特定活動ビザを交付してくれます。

その期間中に、該当地方行政部門の管理・支援を頂き、当時の事業計画の通り問題なく起業準備活動を進めているのならば、該当行政部門が「起業準備活動計画確認証明書(更新用)」を交付して、それを持って入国管理局にさらに6ヶ月間の特定活動ビザを更新してくれます。

スタートアップビザ制度が実施されている地方

  • 福岡市 2019年01月28日から
  • 愛知県 2019年03月26日から 
  • 岐阜県 2019年03月26日から 
  • 神戸市 2019年03月27日から 
  • 大阪市 2019年03月27日から 
  • 三重県 2019年05月14日から
  • 北海道 2019年11月22日から 
  • 茨城県 2020年01月08日から 
  • 大分県 2020年04月01日から 
  • 京都府 2020年04月27日から 

スタートアップビザ制度を利用できる対象業種

各地方では、スタートアップビザ制度を利用できる起業業種が規定されていますので、自分の所在する地方を以下で確認してください。

福岡市

  • 知識創造型産業(半導体関連,ソフトウェア開発,コンテンツ制作,ロボット関連 等)
  • 健康・医療・福祉関連産業(創薬ベンチャー,医療技術開発,再生医療,福祉用機器開発 等)
  • 環境・エネルギー関連産業(クリーンエネルギー開発,次世代蓄電技術,地球情報システム 等)
  • 物流関連業(グローバルSCMサービス,3PLサービス,国際宅配,ドローン物流開発 等)
  • 貿易関連業(市内産品の海外販路開拓に資する事業,博多港・福岡空港の機能を活用する事業 等)

※貿易関連業については,新規性がある事業や市内事業者の成長に大きく寄与する事業である必要があります。

愛知県

  • IT分野(情報通信業)において高成長を目指す事業
  • 革新的技術・技能を用いて高成長を目指す事業

岐阜県

  • IT、IoT等関連分野:IT、IoT等を導入・活用し、企業の生産性向上や新商品・技術開発、付加価値創造に関連する事業
  • 観光分野:県の観光消費の拡大、県内への誘客促進に関連する事業

神戸市

  • 高度技術を活用した事業(IT,健康,医療・福祉,環境,物流等)
  • 既存産業の高付加価値化やイノベーションを誘発する事業
  • その他、神戸市長が必要と認める事業

大阪市

地域未来投資促進法における大阪市基本計画において定める産業分野

  • 成長ものづくり分野
  • 第4次産業革命関連分野
  • グリーン・エネルギー分野
  • ヘルスケア・ライフサイエンス分野
  • 観光・スポーツ・文化・まちづくり分野

三重県

IoT・AIビジネス、食関連ビジネス、観光関連産業、次世代エネルギー関連産業、次世代ヘルスケア関連事業、生活関連サービス関連事業、貿易関連産業

※留学生としての強みを生かし、三重県産業の振興、ひいては我が国の国際競争力強化と国際的な経済活動の拠点形成につながるような分野を対象としております。

北海道

  • 地域を支える農林水産業の成長産業化を促進する事業
  • 地域資源を活かした食関連産業の振興を促進する事業
  • 観光産業の先進地・北海道の実現を促進する事業
  • 高い付加価値を生み出すものづくり産業の振興を促進する事業
  • 市場規模やニーズの変化に応じた産業の創造を促進する事業
  • その他、知事が必要と認める事業

茨城県

  • ライフサイエンス(医療,バイオ・製薬等)を中心に,研究開発型の事業
  • IT 分野(情報通信業)やロボティクスなど革新的技術・技能を用いて高成長を目指す事業
  • その他知事が特に認める事業

大分県

自動車関連、電子・電気・機械関連、素材型・造船関連、健康・医療・福祉関連、環境・エネルギー関連、食品・農林水産関連、サービス産業、情報関連、航空関連、物流関連産業等

京都府

京都府の産業の国際競争力の強化、雇用の拡大、地域経済への循環及び国際的な経済拠点としての発展を目的とし、以下の分野にあてはまる事業

  • 伝統産業、先端産業等のものづくり分野
  • AI・IoT・情報通信分野
  • 環境・エネルギー分野
  • ライフサイエンス・ウェルネス分野
  • ソーシャルビジネス分野
  • 文化・アート・コンテンツ分野
  • 農林水産・京の食文化に関する分野
  • 観光分野(主に観光客の利用に供する観光土産販売施設、飲食店 等を除く)
  • その他、京都府知事の認める分野

まとめ

日本にいる留学生たち、外国人の皆さんは日本で起業を志すのであれば、ビジネスアイデアがあれば、ぜひ創業計画書を練って、該当部門の認めをもらってください。この制度を利用すれば、起業準備過程に、いろんな地方からの支援が自動的に付いてくるので、人脈構築の面もメリットもありますので、ぜひこの制度を利用してみてください。

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